夢幻劇団。
ハロウィンの逆襲
ハロウィン。ハロウィン。Halloweeeeeen!!
何度でも言おう、ハロウィンだ。
10月末日、フレイのテンションはメーターを振り切っていた。
ハロウィンといえば、全国の子供たちが「trick or treat?」と問う日。
それは、何処ぞの屋敷も例外ではない。
「リュヌ! trick or treat!」
どっどっどっ、ばんっ!
そんな音が聞こえてきそうな感じで、全力疾走アンド全力ドア開け。
犯人は勿論、フレイである。
「遅かったですね、フレイ」
ぜえぜえと肩で息をするフレイに対し、にこやかに──裏があるのではないかと勘ぐってしまう程にこやかに──リュヌは笑った。
「なんだよ、遅かったら駄目なのかよ?」
「いえ、そういう訳ではなくて。ただ、初めのほうに来るものだと思ってましたから」
「そりゃ残念だったな。ところでお菓子」
「身構え損でしたよ、まったく……。ひとつ、どうぞ」
そう言って手渡したのは、開封済みの『3個に1個超酸っぱい』あれ。何故だか、2つしかないのだけれど。
「2択です。俺が食べたやつは甘かったので」
「げ、よりによってコレかよ」
「すっぱムーチョじゃなかっただけマシでしょう?」
「それもそうだな。……じゃあこっちで」
「ファイナルアンサー?」
「Oui」
「では、どうぞ」
ひと思いにぱくり。もうこうなったらヤケクソである。
「~!! すっぺえっ」
「あ、当たりました?」
「見りゃわかんだろっ」
「わかりますけど、一応訊いておこうかと」
「お前も大概 いい性格してるよな。……もう一個 貰ってもいい?」
「いいですよ」
「サンキュ」
口直しにと、もうひとつ貰ってみる。
口に入れた瞬間、リュヌがニヤリと笑った……ような気がした。
ぱくっ。
「~~!!?」
最早、声にもならない。
「引っかかりましたね!」
ヤリィ!とばかりに笑うリュヌ。
とってもレアな瞬間なのだが 、今のフレイにそんなことを気にする余裕など無い。
「引っかかりましたねじゃねえよ何で2個酸っぱいんだよ訳わかんねえよ」
「落ち着いてください。『2択』とは言いましたが『酸っぱいのはひとつだけ』とは言ってませんよ? 俺の作戦勝ちです」
「ずりい」
「夕食にハバネロ入れられた俺の気持ちわかりました? 次いれたら"みずのちかい"ですからね?」
「よくわかったからみずのちかいはやめてくださいしんでしまいます」
「よろしい」
そう言ってリュヌは、満足げに笑った。
その後、フレイの食べ物に関する悪戯がなくなったことは 言うまでもない。
H27.11.5. 0:20 了
何を書きたいのかわからなくなってしまった代物。
ハロウィンの日から日付が変わる30分程前から書き始めました。ほぼ無計画で。
思えばそんなことばっかしで、何時ぞやの連載小説の記念日短編も大幅に遅刻するのがデフォルトになりつつあったような。
遅筆なんです、しゃーない。